征服株式会社 地獄の派遣社員虐待編

舞台は上場企業の裏側という名の“地獄”。表向きの華やかさとは裏腹に、派遣社員が踏み入れたオフィスには、支配と屈服が渦巻く異様な空気が漂う。冷徹な上司に睨まれ、背筋の凍る沈黙の中で響くのは、ハイヒールが床を打つ鋭い音だけ。職場の上下関係が性的支配に変わる過程を容赦なく描く社内調教ドラマであり、むき出しの権力構造をフェティッシュに映し出すV&Rプランニングらしい問題作だ。

登場する女王様たちは、当時からその名を知られたカリスマ揃い。天之蘭、丸奇ジュリ、石原くるみといった個性派のS女性が、それぞれに異なる支配の色を見せる。外見は華やかで整っていながら、笑顔の裏に潜む狂気が際立つ。柔和な声で命令しながら、次の瞬間にはヒールを叩きつける。そのM男フェチ作品特有の二面性が観る者の神経を刺激する。丸奇ジュリ女王様による“弁当に注がれる聖水”のくだりは、視聴者の間で語り草となった背徳の象徴だ。

プレイは終始、空気を張り詰めさせるほど苛烈。顔を踏まれ、蹴られ、それでも従順に耐える男性たちの姿は、痛みの中に陶酔が混じる境界を描く。羞恥と快感が交錯し、皮靴が頬を押し潰す音、制服の擦れる微かな音までが、フェチ心を掻き立てる素材となっている。レビューでも「説得力が違う」と評されたように、女王たちの演技には職人芸の重みがある。90年代という時代性が逆に新鮮な緊張感を呼び起こすSM調教映像だ。

V&Rプランニングの「征服株式会社」シリーズは、企業社会を舞台に権力と欲望を交錯させる名義作として知られる。本作もその系譜にあり、快楽の裏に潜む社会構造を冷徹に見せる演出が光る。照明の硬さ、ヒール音の強調、台詞の間の取り方までが計算され、単なる暴力ではなく儀式としての支配を描いている。今見ても色褪せない、編集部が選ぶ“原点回帰型ドミナトリックスAV”の一本だ。